七月の夕立


あなたが両手で抱えている苦しみは
陽炎の中で揺れている紫陽花なのでしょうか
それとも
遥か遠くに見える積乱雲なのでしょうか

小さな水たまりに落ちた
一滴の言葉が一面に広がり
底なしと掘っていこうとしています

もう必要とされていないのでしょうね
私の肉体は六月までと
一度は宣告されましたし
あなたの涙を受けることも無かった

真夏の日にうっかり飛び込んだ言葉は
梅雨明けには程遠いようだ
まだ降りそうもない


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すみれ


紫色した小さな幸せ
どこにでも咲いている可憐な幸せ
嫉妬に狂わされるのは
あなたが娘のように可愛過ぎたから

花びらがいくつも咲いて
あなたはブーケとなるでしょう
すみれは
あなたの化身
微笑みを運ぶ星となる

月の雫



肺の中に巣食った僕の三つの驚くは
実は月の雫なのだと
いつの間にか飲み込んでしまった涙の欠片は
あなたから遠いところのノクターンの苦さ
これから先もいくつ回るだろうと思えば
月は微笑んでいるように見えてきて
僕は息のできる喜びを素直に感じている

 パヴァーヌ



六つの舞曲があなたから贈られ
時を奏でる精霊に妬まれた
愛を歌う神話に戻ったような物語が
いま回転盤の針を震わせて
狂おしくヴァイオリンの音色とともに

寝覚めると
珈琲の飲みかけのカップと
封を切って読み掛けの一通の手紙
溜息と朝の光とのパヴァーヌ

探し物


今朝サンドイッチを食べていたときまでは
確かに僕は僕のものでしかなかったろう
いまこの個体は他人の手で弄られ
僕の不確かさを探している
血小板よりも小さくなった未来は
ぼんやりとした瞼の向こうで
時おり点滅して僕を呼んでいるようだ
見つかったかな
あなた方の探し物
僕は芝生の上で寝転んで僕の雲を探しているよ
プロフィール

邑輝唯史

Author:邑輝唯史
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