波長



わたしの波長は沈む陽に重なり合って
ポチの波長は雑踏の音を消す

あなたの波長は銀河の渦から生まれ
冬の波長は生まれいづる幹の芽

わたしの波長はノイズのようで
あなたは綺麗な踊り子のステップみたい
あなたの波長で音楽が鳴らされると
星は円い起動で動き始めて止まらない

わたしはあなたの波長に近づきたいと願うが
あなたはいつも琴の響きのように
子を抱く母の温もりに
蟻が戻る巣の中に
塵が堆積する深海の底に

そっと隠れていってしまうのです

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ある日

 ある日

ある日
歩いて近くの図書館に行った
詩集を一冊取り出して
椅子に腰掛けて
読みだした
十五分もたたずに
なんだか瞼が重くなってきて
あれれ
ふんわり
文字が
二重三重に揺らいできて
紙の上で踊り出す

そう言えば
近くの公園から
盆踊りの唄が聞こえてく・・・・

七月の夕立


あなたが両手で抱えている苦しみは
陽炎の中で揺れている紫陽花なのでしょうか
それとも
遥か遠くに見える積乱雲なのでしょうか

小さな水たまりに落ちた
一滴の言葉が一面に広がり
底なしと掘っていこうとしています

もう必要とされていないのでしょうね
私の肉体は六月までと
一度は宣告されましたし
あなたの涙を受けることも無かった

真夏の日にうっかり飛び込んだ言葉は
梅雨明けには程遠いようだ
まだ降りそうもない


すみれ


紫色した小さな幸せ
どこにでも咲いている可憐な幸せ
嫉妬に狂わされるのは
あなたが娘のように可愛過ぎたから

花びらがいくつも咲いて
あなたはブーケとなるでしょう
すみれは
あなたの化身
微笑みを運ぶ星となる

月の雫



肺の中に巣食った僕の三つの驚くは
実は月の雫なのだと
いつの間にか飲み込んでしまった涙の欠片は
あなたから遠いところのノクターンの苦さ
これから先もいくつ回るだろうと思えば
月は微笑んでいるように見えてきて
僕は息のできる喜びを素直に感じている

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邑輝唯史

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